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シニアの「暮らし向き」を左右する要因
~男女差、健康状態、経済状況、価値観、デジタル対応力の影響を分析~

NRI社会情報システム株式会社 開発部 テクノロジーグループ グループマネージャ 今岡 雄一

2025/12/08

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高齢者の未来は明るいのか、それとも暗いのか。しばしば語られるこの問いは、実は単純な二択に収まらない。最新の調査データは、高齢者の未来展望は、男女差、経済状況といった従来注目されてきた要因に加え、個人の心の持ちようやデジタル社会への適応力など、より個人的な側面によっても大きく揺れ動く複雑な実態を映し出している。本稿では、シニア調査パネル「シルニアス」により明らかにしたデータをもとに、希望と不安の狭間に揺れる高齢者の内面に踏み込み、未来への見方を形づくる要因を丁寧に読み解いていく。変化の激しい長寿社会において、私たちがどのような視点で向き合うべきか、そのヒントが本データから浮かび上がる。

高齢者の未来展望は実に多面的である。将来を悲観的に見る女性が男性の倍近くに上るという現実もあれば、資産100万円未満という状況から『良くなる』と希望を抱く層も存在する。
未来への期待値を分けているのは、単なる属性の違いではなく、日々の暮らしの実感、物事の捉え方、そして社会変化への適応力といった、より個人の内側にある要素である。

本稿では、こうした一見すると相反するようにも見えるデータが示す意味を丹念に読み解き、高齢者が抱く未来の輪郭をより立体的に捉えることを試みる。そのプロセスを通じて、超高齢社会における新たな価値創造や支援のあり方に通じる示唆が見えてくるはずである。

高齢者の将来展望に見る男女差:女性の方がより慎重な現実

本調査では、高齢者の未来に対する展望を分析する最初の切り口として、男女差という最も基本的な属性に着目した。すると、今後の暮らし向きに対する意識には、男女間で明確な温度差が存在することが浮かび上がってきた(図1)。はじめに、まずは全体の結果から見ていくと、回答者の過半数にあたる52.2%が「変わらない」と現状維持を見込む一方、将来を楽観視する「良くなっていくと思う」という回答はわずか6.3%にとどまり、36.9%が「少し悪くなっていく」もしくは「非常に悪くなっていく」と回答していることから、将来を不安視する高齢者が多いことが伺える。

これを男女別にみると、「良くなっていくと思う」と回答した割合は、男性の7.5%に対し女性は5.0%と、その差は比較的小さい。しかし、最も深刻な見方である「非常に悪くなっていくと思う」という回答に目を向けると、その差はより鮮明になる。男性が4.2%であるのに対し、女性は7.6%と、倍近い数値を示しており、女性の方が男性よりも将来に対して慎重、あるいは悲観的な見方をしていることがうかがえる。
しかし、年代別に見ていくと、さらに興味深い傾向が浮かび上がる。「少し悪くなっていく」と「非常に悪くなっていく」を合わせた悲観的な見通しを持つ層に着目すると、男性は年齢を重ねると共に悲観的な割合が増加するのに対し、女性は逆に減少していくという逆転現象が見られる。

この意識差の背景には何があるのだろうか。まず、全体で女性が悲観的になりがちな要因として、経済的な基盤の違いが考えられる。出産や育児をはじめとするライフイベントでキャリアが中断されやすいことなどから、一般的に女性は男性に比べて生涯賃金が低い傾向にあり、これが年金額の差となって老後の家計に直接影響を与える。また、平均寿命が長い女性は、より長期間、自身の健康問題や介護、配偶者との死別後の単身生活といった現実的な課題と向き合う可能性が高い。こうした長期的な視点が、慎重な未来予測につながっていると推察される。特に、女性65~69歳層で「良くなっていくと思う」という回答が2.5%と特に低いのは、年金生活への移行期における現実的な不安の表れではないだろうか。

一方で、年代が上がるにつれて見られる男女差の逆転は、ライフステージの変化への適応過程の違いを示唆している。男性は、退職による社会的役割が希薄化していく、加齢に伴う健康不安が増加するといった現実に直面するにつれて、徐々に将来への見通しが厳しくなっていく傾向があるのかもしれない。対照的に女性は、年金生活への移行期という最も不安の大きい時期を乗り越えると、地域活動や趣味のコミュニティなどで新たな生活基盤や人間関係を築き、現実の生活に適応していくことで、過度な悲観が和らいでいく可能性がある。一般的に女性の方が男性に比べ健康寿命が長く、活動的な期間が長いことも、こうした心理的な変化の背景にあると推察される。 このように、男女間で未来への展望が大きく異なるという事実は、高齢者支援を考える上で極めて重要な示唆を与えるものである。

図1 今後の自分の暮らし向きについて、どのように考えているか(男女・年代別)
シルニアス調査:今後の暮らし向きについて男女・年代別に尋ねた調査結果のグラフ。男性より女性の方が悲観的な傾向を示している。

健康状態が描く高齢者の未来図:健康状態と暮らし向きの密接な関係

生活の質を左右する大きな要因である健康状態は、未来への展望にどのように影響するのだろうか。心身が健やかであるという実感は、将来を描く上での心理的な基盤そのものとして機能しているのではないか。この仮説を検証したところ、現在の健康状態と今後の暮らし向きに対する展望は密接に結びついていることが明らかになった。心身が健やかだと感じている者ほど自らの未来を楽観的に捉え、逆に健康に不安を抱える者ほど悲観的な見通し、さらには先行きが「わからない」という不透明感に苛まれている実態が浮かび上がる。なお、本調査の対象者はシルバー人材センターの会員であり、現時点で少なくとも屋内外で数時間の軽作業が可能な健康状態であることに留意いただきたい。

具体的にデータを見ていくと、その傾向は一目瞭然である(図2)。「非常に健康である」と回答した層(回答者の11.5%)では、今後の暮らし向きが「良くなっていくと思う」との楽観的な見方が11.4%に達する。これに対し、「健康ではない」層(同12.6%)ではその割合は4.0%にまで低下する。逆に、「少し悪くなっていく」「非常に悪くなっていく」を合わせた悲観的な見通しは、「非常に健康である」層が合計23.7%であるのに対し、「健康ではない」層では46.4%と、ほぼ倍の数値に跳ね上がる。健康状態が、未来への期待値を直接的に左右する強力な変数であることがわかる。 この分析で特に注目すべきは、「わからない」という回答の分布である。「健康ではない」層では10.4%がこの選択肢を選んでおり、「非常に健康である」層の0.9%と比較して10倍以上の突出した数値を示している。

この現象は、健康不安が将来設計そのものを困難にしている深刻な状況を浮き彫りにする。医療費や介護費用の増大、就労困難といった具体的懸念が、暮らし向きの見通しを立てること自体を不可能にしているのである。将来が「悪くなる」と予測できるうちは、何らかの対策を考える余地があるが、「わからない」という回答はそれとは異なり、健康への強い不安から、自分の生活がこれからどうなっていくのか見通しを立てること自体が困難になっている、より深刻な状況を示している。

高齢社会における豊かさを追求する上で、医療サービスの充実はもちろんのこと、健康不安を抱える人々が経済的・社会的に孤立することなく、将来への見通しを再構築できるような包括的な支援体制の必要性をこのデータは示しているのではないだろうか。

図2 今後の自分の暮らし向きについて、どのように考えているか(健康状態別)
シルニアス調査:健康状態別に今後の暮らし向きへの考え方を示した棒グラフ。健康な人ほど暮らし向きに楽観的で、不健康な人ほど悲観的、または「わからない」と回答する割合が高い。

経済状況が映す希望と不安:家計実感と資産額のねじれた関係

高齢者の未来展望を規定する上で、健康状態と並び、日々の暮らしの土台である「経済状況」が極めて重要な要因であることは言うまでもない。本調査では、「家計状況」と「金融資産額」の両面から分析したところ、高齢者の心理を映し出す複雑な実態が明らかになった。

まず、日々の「家計」の実感は、高齢者の未来展望に直結する。データが示す関係性は極めて明瞭である(図3)。家計に「余裕があり、将来の心配もない」と回答した層(回答者の6.9%)では、暮らし向きが「悪くなっていく」と考える人はわずか5.8%に過ぎず、実に79.7%が「変わらない」と回答している。経済的な安定が、将来への不安を払拭し、精神的な平穏をもたらしていることがわかる。 しかし、家計の余裕がなくなるにつれて、将来への見通しは厳しさを増していく。特に、経済的に「余裕はまったくなく、やりくりが大変厳しい」と感じている層(同3.1%)ではその傾向が顕著である。この層では、暮らし向きが「非常に悪くなっていく」という回答が35.5%に達しており、将来への強い懸念がうかがえる。さらに注目すべきは、同じくこの層で「わからない」という回答が35.5%と、「非常に悪くなっていく」と全く同率で突出している点である。これは、日々の生活の維持に注力するあまり、未来を具体的に思い描く余裕を奪っている状況がうかがえる。

一方で、客観的な「金融資産額」と未来展望の関係に目を向けると、より複雑で示唆に富む「ねじれ」の構造が見えてくる(図4)。資産が多ければ多いほど楽観的になるという、単純な比例関係にはない。
金融資産が「3,000万円以上」の層(回答者の12.2%)では、「非常に悪くなっていく」との回答は皆無で、74.8%が「変わらない」と回答している。彼らにとっての楽観とは、大きな変化ではなく、盤石な経済基盤の上での「安定の継続」なのである。
しかし、この図式は資産額が少なくなるにつれて崩壊し、興味深い逆転現象を引き起こす。最も注目すべきは、金融資産が「100万円未満」の層(同11.4%)だ。この層は「非常に悪くなっていく」との回答が12.6%と高い一方で、「良くなっていくと思う」という回答も11.7%に達する。この数値は、資産の多い富裕層の「良くなっていくと思う」の回答比率(7.6%)さえも上回っており、非常に興味深い楽観性である。この背景には、「失うものがない」という心理からくる上昇への期待感や、資産形成とは異なる価値基準を持つ生き方が育んだ心の強さがあるのかもしれない。
その一方で、最も厳しい未来を想定しているのは、資産が100万円台から1,000万円未満の資産中間層である。特に「500万円~1,000万円未満」の層(同14.4%)では、「少し悪くなっていく」が41.8%に達し、不測の事態で一気に生活が傾きかねないというリスクを最も現実的に感じている層と言えるだろう。

このように、経済状況と未来展望の関係性は、資産状況によって「希望の質」が異なることを示している。富裕層が求める「安定維持の希望」、資産が極端に少ない層に見られる「上昇への期待や希望」、そして中間層が抱える「現状からの緩やかな下降への不安」。高齢者支援を考える上では、単に経済指標の多寡で判断するのではなく、各層が抱える固有の心理状態を理解することが不可欠なのである。

図3 今後の自分の暮らし向きについて、どのように考えているか(家計状況別)
シルニアス調査:家計状況別に、今後の暮らし向きの見通しを尋ねた調査結果のグラフ。家計が厳しいほど悲観的な傾向が極めて強い。


図4 今後の自分の暮らし向きについて、どのように考えているか(金融資産額別)
シルニアス調査:金融資産額別に、今後の暮らし向きの見通しを尋ねた調査結果のグラフ。資産額と暮らし向きの見通しには、単純な比例関係ではない複雑な傾向が見られる。

未来の景色は「心の持ちよう」で変わる―高齢者の価値観と暮らし向き展望の密接な関係

これまで見てきた健康状態や経済状況といった客観的な指標に加えて、「物事の捉え方」といった個人の内面的な要因が、未来への展望を大きく左右するのではないか。この仮説を検証すると、データは明確な相関関係を示している(図5)。高齢者の物事の捉え方や価値観が、今後の暮らし向きに対する将来展望に直接的な影響を与えていることは明らかである。自己の行動に対して「失敗するのではないかと思ってしまう」という悲観的な考え(Aの考え)を持つ層と、「何をやっても上手くいくと思う」という強い楽観的な考え(Bの考え)を持つ層とでは、未来の景色は全く異なって見えているのだ。

具体的に数値を見ると、その傾向は一目瞭然である。まず、「失敗するのではないかと思ってしまう」考えに「近い」最も悲観的な層(Aの考え)では、今後の暮らし向きが「良くなっていくと思う」と回答した割合は6.0%に留まる。これに対し、「自分は何をやっても上手くいくと思う」という考えに「近い」最も楽観的な層(Bの考え)では、この割合が14.7%に達し、2倍以上の差が見られる。この事実は、考え方や価値観と将来展望の強い連動を物語っている。逆に、「非常に悪くなっていくと思う」という最もネガティブな見通しは、悲観的な層では9.0%に達するのに対し、楽観的な層では2.9%にまで減少し、そこには3倍以上の開きがある これは単に「楽観的な人が楽観的な回答をした」という同語反復ではない。楽観的な考え方が、困難な状況に直面した際の対処能力や行動様式、いわゆるレジリエンス(精神的な回復力)の高さに繋がり、それが結果として「何とかなるだろう」という未来への自信を生み出している可能性がある。注目すべきは、「変わらないと思う」という現状維持の回答でさえ、楽観的な層ほど割合が高くなる(46.3%から64.7%へ増加)という事実である。これは、高齢期における「楽観」とは、必ずしも成長や改善を指すのではなく、「悪くならない」という安定への期待であるという特徴が読み取れる。このように、個人の物事の捉え方や価値観が、高齢期の生活の質を左右する重要な要素なのであろう。

図5 今後の自分の暮らし向きについて、どのように考えているか(楽観的・悲観的別)
シルニアス調査:楽観的か悲観的かという考え方別に、今後の暮らし向きへの見通しを尋ねた調査結果のグラフ。楽観的な者ほど暮らし向きにも楽観的である。

高齢者のデジタル格差は希望格差か? 新たな社会適応力が映し出す未来展望

これまでの分析では、性別や個人の価値観(マインド)、さらには健康状態や経済状況といった、いわば個人の属性や生活基盤に根差した要因が、未来展望に影響を与える可能性が示唆された。しかし、現代を生きるシニアの未来展望は、果たしてそれらの要因だけで説明できるのだろうか。

社会そのものが大きく、そして不可逆的に変化する現代において、その変化にどう向き合い、関係を築いていくかという視点もまた、重要な要素となっているのではないだろうか。その変化の代表例として挙げられるのが、私たちの生活の隅々にまで浸透した「デジタル化」であろう。そして今回の調査は、このデジタルへの向き合い方が、高齢者の未来展望と強く結びついている可能性を浮かび上がらせた。これは単なるスキルや情報の格差という問題に留まらず、変化する社会との関わり方の質を測る、新たな指標となりつつあるのかもしれない。

データは、この新しい現実を雄弁に物語っている(図6)。「デジタルを積極的に活用して生活を豊かにしたい」と回答した意欲的な層(回答者の8.2%)では、暮らし向きが「良くなっていくと思う」と答えた割合が17.3%に達し、全カテゴリーの中で突出して高い数値を示した。デジタルを道具として使いこなせる感覚は、情報収集や交流、資産管理など生活の幅を広げるだけでなく、変化に自ら対応できるという自信にもつながっているのだろう。

対照的に、「デジタル化に付いていける自信がなく、取り残される不安がある」と回答した層(同29.8%)の状況は深刻である。「少し悪くなっていく」(35.3%)と「非常に悪くなっていく」(9.2%)を合わせた悲観的な見通しは44.5%にのぼる。「わからない」という回答も6.4%と高く、デジタル化が日常生活の多くを覆う中で、対応できないことそのものが将来の不透明さを生み出している可能性がある。

この分析において興味深いのは、「デジタルに頼らなくても生活を豊かにしていける」と考える、いわば「デジタル独立派」層である(同10.4%)。彼らは「不安」層ほど悲観的ではないものの、楽観度は4.9%と低く、「非常に悪くなっていく」という強い悲観論も9.7%と比較的高い。主体的にデジタルから距離を置く一方で、社会全体が急速にデジタルへ移行している現実も認識しており、その結果として楽観も悲観も持ち合わせた独特の未来観を形成していると考えられる。

デジタル対応力とは単なるスキルではなく、変化する社会とどう関係を築くかという姿勢そのものであり、その違いが未来への見通しにも表れているのである。

図6 今後の自分の暮らし向きについて、どのように考えているか(デジタル化社会の考え方別)
 シルニアス調査:デジタル化への考え方別に今後の暮らし向きへの展望を示した棒グラフ。デジタルに積極的な層が最も楽観的で、不安を感じる層が最も悲観的である。

今回の調査は、高齢者の「今後の暮らし向き」に対する見通しが、健康状態や経済状況といった従来からの重要因子に加え、デジタル社会への対応力という現代的な要素によっても大きく左右される複雑な実態を浮き彫りにした。

この調査結果は、超高齢社会における高齢者支援において、高齢者の将来不安を軽減し、未来展望を明るくするための以下の3つの視点が重要であることを示している。第一に、性別や年齢といった属性だけでなく、個人の考え方や価値観を理解すること。第二に、健康維持と経済的安定の両輪で支援すること。第三に、デジタル化への適応を支援し、社会参加の機会を確保することである。
未来を悲観する見方は、単なるネガティブな感情ではなく、変化の大きな社会の中で自らの未来を真摯に見つめる現実的な姿とも言える。だからこそ、支援策は一律であってはならず、個々の状況と向き合う姿勢が欠かせない。高齢者を単なる「支援の対象」ではなく、経験と知恵を持つ「パートナー」として捉え直すこと。それが、すべての世代にとって希望ある長寿社会を築く第一歩となるはずである。

執筆者:
今岡 雄一(いまおか ゆういち)
NRI社会情報システム 開発部 テクノロジーグループ グループマネージャ
野村総合研究所(NRI)入社後、NRI社会情報システムにてシルバー人材センター業界のデジタル化を推進。テクノロジーグループのマネージャとして、AI活用や新サービス企画といった先進的な取り組みをチームで進める。自身もエンジニアとしてシステム基盤の設計・構築・運用まで幅広く担当し、マネジメントと技術の両面から、「未来のシルバー人材センターのあり方」の実現をリードしている。
NRI社会情報システム株式会社のシニアパネル ”SIRNIORS”(シルニアス)とは、全国の60歳以上の男女約10万人を組織した調査パネルです。アンケート調査や商品のホームユーステスト、実証実験参加、各種インタビューなどにご利用いただけます。

シルニアスパネルについて 本コラムを読む上での留意点

高齢者の未来展望と資産形成に関するQ&A

Q1. 高齢者の将来に対する見通しは、男女でどのような違いがありますか?

A1. 調査によると、将来を「非常に悪くなっていく」と悲観的に見る女性(7.6%)は男性(4.2%)の約2倍に上ります。この背景には、生涯賃金の差による年金額の違いや、平均寿命が長く介護や単身生活といった現実的な課題に直面しやすいことなどが考えられます。

Q2. 高齢者の健康状態は、将来の暮らし向きの見通しにどう影響しますか?

A2. 健康状態は将来展望に直結します。「非常に健康である」層では将来を楽観視する割合が11.4%であるのに対し、「健康ではない」層では4.0%に低下します。逆に悲観的な見通しは、「健康ではない」層(46.4%)が「非常に健康である」層(23.7%)の約2倍に達します。特に「健康ではない」層では「わからない」という回答が10.4%と突出し、健康不安が将来設計そのものを困難にしている状況がうかがえます。

Q3. 高齢者の金融資産額は、将来への楽観度にどう関係しますか?

A3. 資産額と楽観度は単純な比例関係にはありません。資産「3,000万円以上」の層は「安定の継続」を望む傾向が強いです。一方で、資産「100万円未満」の層は、「非常に悪くなっていく」という回答が12.6%と高いものの、「良くなっていくと思う」という回答も11.7%に達し、資産が多い層(7.6%)を上回る楽観性も見られます。

Q4. 個人の価値観や「心の持ちよう」は、高齢者の未来展望に影響を与えますか?

A4. はい、大きく影響します。「何をやっても上手くいく」と考える楽観的な層では、将来が「良くなっていく」と考える割合が14.7%に達するのに対し、「失敗するのでは」と考える悲観的な層では6.0%に留まります。心の持ちようが、困難への対処能力や未来への自信に繋がっていると考えられます。

Q5. デジタル化への対応力は、高齢者の将来への見通しと関係がありますか?

A5. はい、強く関係しています。「デジタルを積極的に活用したい」意欲的な層では、将来が「良くなっていく」と考える割合が17.3%と全カテゴリーで最も高い数値を示しました。対照的に、「デジタル化に付いていける自信がない」と不安を感じる層では、悲観的な見通しが44.5%にのぼります。デジタル対応力は、変化する社会との関わり方の質を示す指標であり、未来への自信に直結していることがわかります。

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